赤い花と、冬にも緑を保つ葉。椿文には、春を迎える明るさと、穏やかに長く暮らしたいという願いが重なります。漆に彫られた椿から、花の形を大胆に整えた遠州椿まで、意匠の違いを眺めてみましょう。
| 文様の御利益 | 災難厄除・延命長寿・神仏加護(椿) |
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椿文に込める、厄除けと長寿の願い
椿文(つばきもん)は、椿の花や葉、枝を図案にした文様です。丸みのある花に、厚みを感じさせる葉を添えると、華やかさの中に落ち着いた表情が生まれます。一重の花をすっきりと表す図案も、八重の花を豊かに重ねる図案もあり、染織や漆工芸、陶磁器などで親しまれてきました。
椿は常緑の木で、寒い季節にも緑を絶やしません。古くから神聖な木として見られ、災いを遠ざけることや、長寿への願いが重ねられてきました。椿の木や油は暮らしの道具にも用いられ、花の美しさと生活に役立つ木としての親しさが、日本の文化に根づいています。
花がまとまって落ちる姿に結び付けた忌みの伝承も残ります。一方、江戸時代の「帷子 白麻地椿立木寿字模様」には、椿の樹と「寿」の文字を組み合わせた吉祥の意匠が見られます。花の散り方だけでなく、常緑の葉や力強い枝にも目を向けると、椿に託されたさまざまな思いが見えてきます。
漆に咲く椿――椿彫木彩漆笈

福島県立博物館が保管する重要文化財「椿彫木彩漆笈」は、室町時代の工芸品です。笈(おい)は背負って運ぶ箱の形をした道具で、この作例では、椿の花と葉が木地への彫りと漆の色によって表されています。
赤い花と緑の葉を組み合わせた鎌倉彫の装飾は、平らな布の図案とは異なる立体的な表情を持っています。丸い花の中心、重なり合う花びら、枝に沿う葉の流れ。古い漆の落ち着いた色の中でも、花を大きく見せる意匠の華やかさが伝わります。
花の形を大胆に整える、遠州椿

遠州椿(えんしゅうつばき)は、江戸時代初期の大名で茶人の小堀遠州が好んだ名物裂に見られる椿の図案として知られています。花の形を軍配のように大きく整え、写生的な花とは違う、すっきりした構成にしています。
ここで見る図案は、左右に広がる赤い花の形、中央の長いしべ、下側に伸びる緑の葉で組み立てられています。細かな花びらを描き込まず、色と輪郭の対比で椿らしさを表すところが魅力です。花の姿を写す椿と、形を選び取る遠州椿。同じ花でも、図案の整え方で印象は変わります。
着物で楽しむ、冬から春の椿

着物の花は、写実的に描かれることも、形を抽象化して織り出されることもあります。花の種類を一つに決めにくい柄は、合わせる季節やほかの文様とともに眺めると、装いの見立てが広がります。
黒と茶の大きな花柄の紬では、山茶花にも椿にも見える花に、赤い幾何学模様の帯を合わせています。静かな冬の景色にあたたかな色を重ねる黒と茶の椿の冬コーデと、椿・菜の花を早春に見立てる赤い帯が映える春の紬コーデで、季節による楽しみ方をご紹介しています。
御利益アイテム
椿の花に、穏やかな毎日への願いを。
布や漆に描かれた椿を、毎日の身支度にも取り入れて。花の意匠を手もとで眺める道具と、髪に添える小さな装飾を選びました。椿に重ねられた願いを心に留めながら、和装の日にも洋服の日にも花の表情を楽しめる二品です。
椿の彫りと漆を手もとで楽しむ手鏡
鎌倉彫青山工房の椿の手鏡は、木に彫った椿を拭き漆の濃淡と金箔で表した一品。赤い花を描く図案とは違う、落ち着いた木と漆の表情を楽しめます。髪や襟元を整える日々のひとときに、椿の輪郭を眺める楽しみを添えて。
椿の彫りと漆の色合い、鏡の直径や持ち手の大きさを商品ページで。
椿の蒔絵を後ろ姿に添えるかんざし
さんびの蒔絵かんざし「椿柄 T-3」は、黒いアクリル樹脂の地に椿を描いた日本製の髪飾りです。イチョウ型の広がりに花の意匠が映え、着物の日のまとめ髪はもちろん、すっきりした洋服の装いにも穏やかな華やかさを添えます。後ろ姿の小さな彩りとして、椿を身近に楽しめます。
椿の配置、幅約8cm・長さ約12.5cmの大きさと二本の足の形を商品ページで。
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