
幾重にも重なる花びらと、しなやかに伸びる枝葉。薔薇は西洋の花という印象がありますが、日本でも古くから文学や工芸に登場してきました。花の名前と歴史をたどり、蒔絵や陶磁器に表された薔薇文を見ていきます。
| 文様の御利益 | 諸願成就・災難厄除・病気平癒(薔薇) |
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「さうび」と呼ばれた薔薇
薔薇文(ばらもん)は、薔薇の花や枝葉を意匠にした文様です。西洋ではギリシャ神話に結びつく美と愛の象徴として、さまざまな装飾に用いられてきました。
日本では、薔薇は「さうび」という名で『古今和歌集』の歌に詠まれ、『枕草子』の能因本にも登場します。この花は、中国原産の庚申薔薇と考えられ、長春花とも呼ばれています。
鎌倉時代の蒔絵や室町時代の水干にも薔薇の意匠が見られます。ただ、当初は鑑賞する植物としての性格が強く、江戸時代に栽培や新しい品種の伝来が進むにつれて、文様としても広がっていきました。
蒔絵に見る、重なり合う花びら

サントリー美術館所蔵の「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」に見られる薔薇の意匠では、丸みのある花びらが幾重にも重なり、花の中心から外側へ広がっています。細い枝と葉を添えることで、丸い花だけでは生まれない動きが加わります。
花びらの重なり、枝の曲線、葉の輪郭を順に見ると、薔薇文の組み立てがわかります。
金色の花と暗い地色の組み合わせは、花びらの線をくっきりと見せます。正面を向いた花と横向きの花を並べる表現にも、同じ花を繰り返すだけではない奥行きが感じられます。
陶磁器の中で、桜と薔薇を合わせる

東京藝術大学所蔵の「色絵桜薔薇文大盤」は、桜と薔薇を一つの画面に合わせた意匠です。黄色い薔薇と白い桜の花が枝葉とともに配され、丸い器の中に花の景色をつくっています。
重なる花びらを持つ薔薇と、五枚の花びらが開く桜。花の形を見比べると、それぞれの違いがよくわかります。緑や赤褐色の葉も、花の色を引き立てています。
蒔絵の薔薇が線と金色で花の形を見せるのに対し、この大盤では色の違いと枝の広がりが印象をつくります。同じ薔薇でも、素材や組み合わせによって表情が変わります。
長春花の名に重なる願い
薔薇文は、越後系の型染にも多く使われてきました。八重の長春花を思わせる花形には、花の咲く時が長く続くことへの思いが重ねられています。雪の多い土地で花を待つ気持ちに結びつけて、その意匠を味わう見方もあります。
薔薇に託される御利益には、諸願成就・災難厄除・病気平癒があります。願いがかなうこと、災いを避けること、健やかに過ごすことへの思いを花に重ねる、文様の縁起として親しめます。
華やかな花だけでなく、枝葉や余白にも目を向けてみると、薔薇文の落ち着きと軽やかさが見えてきます。
御利益アイテム
薔薇の彩りに、健やかな日々への願いを。
願いを込めた文様を、あなたの毎日に。
薔薇の花を持ち歩く印伝の長財布
印傳屋「かぐわ」のローズ小柄の長財布は、黒い鹿革に白とピンクの漆で薔薇を表した一品です。薔薇に託された願いを、毎日使う持ち物に添えて。花の意匠を落ち着いた黒に重ね、華やかさと大人らしい表情の両方を楽しめます。
薔薇の漆の配色と、財布のサイズ・収納を商品ページで。
洋服に薔薇を添える横浜シルクスカーフ
ローズアレンジ柄の横浜シルクスカーフは、サテンストライプに薔薇を配した約88×88cmの大判。首元に結んだり、肩に添えたりして、洋服でも薔薇文をまとう楽しみが広がります。ピンク・ベージュ・ブルーなどの色から、手持ちの服になじむ一枚を選んでください。
薔薇の配置と、手持ちの服に合わせたい色を商品ページで。
