六角形をもとに、細い菱形が規則正しくつながる麻の葉文。産着から長襦袢、帯や小物まで親しまれてきた幾何学文様です。まっすぐに育つ麻に重ねた願いと、線の組み方で変わるさまざまな表情を眺めてみましょう。
| 文様の御利益 | 子孫繁栄・安産祈願 |
|---|
麻の葉文とは

麻の葉文(あさのはもん)は、正六角形を基本に、細長い菱形を六方向へ組み合わせた文様です。植物の麻の葉に似て見えることから、この名が付けられました。葉の輪郭や葉脈をそのまま写した草花の図案ではなく、直線で構成する幾何学文様です。
ひとつの形を連続させたものは、麻の葉繋ぎ(あさのはつなぎ)とも呼ばれます。中心へ集まる線と、その間に生まれる菱形をたどると、同じ形が途切れずに広がる仕組みが見えてきます。
図版のように色を塗り分けると、朱や青緑の面が次々に現れ、直線のリズムが際立ちます。一色の線で表した図案では、規則的なつながりそのものが主役になります。
麻に重ねた子孫繁栄・安産の願い
麻は丈夫で、すくすくとまっすぐに育つ植物です。その姿に子どもの成長を重ね、産着や子どもの下着に麻の葉文を用いる習慣が生まれました。子孫繁栄・安産祈願の願いを託す文様としても親しまれています。身につける人を思う気持ちを、整った線の連なりに込めた意匠です。
網代組・八ツ手麻の葉

麻の葉文には、線のつなぎ方や形を変えた多くの変形があります。基本形だけを覚えるよりも、どこで線が交わり、どんな余白ができるかを比べると、それぞれの個性を見つけやすくなります。
網代組麻の葉
網代組麻の葉(あじろぐみあさのは)は、帯状の形が組み合わさり、編み目のように見える図案です。図版の左側では、斜めの線と縦の線が連なり、菱形の面が折り重なるような動きをつくっています。細い放射状の線を追う基本形とは違い、面のつながりや組み合わさるリズムを楽しめます。
八ツ手麻の葉
八ツ手麻の葉(やつであさのは)は、細かな直線が密に交わる図案です。右側の図版では、一つの中心から伸びる線を追うと、隣り合う形へと視線がつながっていきます。網代組の大きな面と見比べると、線の細かさによる表情の違いがよく分かります。
輪違い・松川麻の葉

輪違い麻の葉
輪違い麻の葉(わちがいあさのは)は、輪の曲線が重なり合ってつくる麻の葉の図案です。左の図版では、円弧の交わりが細長い花びらのような形を生み、六方向へ広がっています。直線の基本形に対して、こちらは丸みと伸びやかな線が印象に残ります。
松川麻の葉
松川麻の葉(まつかわあさのは)は、松皮菱を思わせる段差を線に加えた図案です。右の図版では、中心から伸びる線の途中に折れが入り、輪郭に細かな動きが生まれています。曲線が滑らかにつながる輪違いと並べると、角や段差のある線がつくる表情を見比べられます。
麻の葉には、このほかにも麻の葉くずし、くずれ麻の葉などの名で呼ばれる変形があります。基本の構造を手がかりに、直線・曲線・段差の違いへ目を向けると、ひとつの文様の豊かさが見えてきます。
産着から長襦袢・帯へ
麻の葉という名が使われるようになったのは近世ですが、図形そのものはさらに古くから用いられていました。平安時代の仏像を飾る截金(きりかね)にも見られ、染織だけでなく建築や漆工にも広がった文様です。
江戸時代には女性の装いにも流行し、長襦袢や帯、袋小物などに用いられました。産着に込めた願いと、装いの中で楽しむ幾何学の美しさ。その両方を持つところが、麻の葉文の魅力です。
歌舞伎と物語に現れる麻の葉
歌舞伎の「八百屋お七」の衣装には、緋色と浅葱色の麻の葉を鹿の子絞りで表したものがあります。文様の形と、絞りが生む細かな粒の表情が重なり、華やかな装いをつくります。絞りの粒の見え方は、鹿の子文の解説でも紹介しています。
『浮世風呂』や歌舞伎の『白浪五人男』には、麻の葉の鹿の子をめぐる言葉が登場します。泉鏡花の『日本橋』では紅と浅黄の麻の葉鹿の子の長襦袢が、田山花袋の『東京の三十年』では麻の葉の襟が描かれています。こうした用例からも、麻の葉が人々の衣服を彩る身近な柄だったことがうかがえます。
御利益をまとう小物
伸びやかな願いを、暮らしのそばに。
願いを込めた文様を、あなたの毎日に。
子孫繁栄や安産の願いを託してきた麻の葉を、胸もとと手もとへ。すっきりとした幾何学の美しさを楽しめる、透かしのネックレスと印伝の財布を選びました。大切な人を思う気持ちを、日々身につけたり使ったりする文様に重ねてみませんか。
胸もとで楽しむ麻の葉の透かし
KANAMEの麻の葉ネックレスは、六角形の小さな枠の中に、麻の葉の線を透かしで表した首飾りです。素材はシルバー925で、プラチナコーティングとK18コーティングの二色から選べます。抜けのある図案なので、無地のブラウスやニットに添えると、肌や服の色を背景に線の形が浮かびます。チェーンは45cm。着物の柄とはひと味違う、小さな麻の葉を楽しめる一品です。
透かしの細部と二色の仕上がり、チェーンの長さを商品ページで。
手もとを彩る麻の葉の印伝財布
印傳屋×さんび堂の2006二つ折り財布は、赤い鹿革に白漆で麻の葉を配した、さんび堂の別注柄です。写真では落ち着いた赤に淡い漆の線が重なり、図案の連続がくっきりと見えます。札入れとスナップ留めの小銭入れに加え、カードホルダー四つとポケット三つを備えています。バッグから取り出すたび、手のひらの中で文様を眺められる小物です。
赤地と白漆の色合い、札入れ・小銭入れ・カード収納の配置を商品ページで。
※当ブログのリンクには広告が含まれる場合があります。



