
薄クリーム色の地に、細かな疋田の粒で縁取った蝶が舞う訪問着。黒い花柄の袋帯を合わせ、帯裏には薔薇をそっと忍ばせます。淡い色の軽やかさと、黒が引き締める華やかさを楽しむ春のコーディネートです。
薄クリーム色に蝶が舞う、春の装い
やわらかな薄クリーム色は、金や淡い紅色の花を穏やかに受け止めます。そこに大きな蝶の輪郭を重ねると、花だけの装いとは違う、ふわりとした動きが生まれます。
蝶の線は一筆で描くのではなく、細かな粒を連ねた疋田模様で表されています。遠くからは軽やかな蝶の形が見え、近づくと粒の繰り返しが見えてくる。その二つの表情が、この着物の楽しみです。
黒い帯は、淡い着物の輪郭をすっきり引き締める役割に。帯にも大きな花を配し、着物と帯の両方に花の気配をつなげています。淡い地色と黒の対比に、蝶の動きと花の華やかさを重ねるのが、この取り合わせの見どころです。
疋田の蝶と、市松の地模様

疋田(ひった)は、鹿の子の背にある斑点を思わせる模様に関わる意匠です。四角い粒を斜めに並べた表現などがあり、鹿の子文とあわせて見ると、粒の形や並び方の違いを楽しめます。「匹田」と書かれることもあります。
この着物では、疋田の粒が蝶の羽の輪郭をつくっています。太く塗りつぶした線に比べて余白が残るため、大きな蝶でも重たく見えず、薄クリーム色の地になじみます。
地には市松文の織り模様も入っています。同じ淡い色の中に四角い区切りを重ねることで、蝶の曲線をさりげなく引き立てています。
蝶には、長寿を願う吉祥の意味があります。中国では蝶の名の音が高齢を表す言葉に通じることから、長く健やかに生きる願いが託されてきました。春の花に舞う姿を楽しみながら、そんな縁起にも思いを向けてみると、装いにもう一つの味わいが加わります。
黒い花柄の帯に、薔薇を忍ばせる
合わせたのは、染色作家草野一騎の袋帯。黒い地に大胆な花を表した意匠が、淡い着物に華やかな芯をつくります。着物の金色の花と帯の花が響き合い、色数を増やしすぎずに存在感を添えています。

帯の裏にも、薔薇の地模様が織り出されています。表の大きな花とは違い、光の当たり方で静かに浮かぶ薔薇。見えるところだけでなく、裏にまで花を選ぶ楽しみがあります。
日本でも古くから親しまれた薔薇には、長春花と呼ばれる花があります。その名に「春が長く続くように」という気持ちを重ね、帯裏に花を忍ばせる。華やかさを控えめな場所で楽しむ、春らしい見立てです。薔薇の歴史や工芸の意匠は、薔薇文の記事でも紹介しています。
色と文様、装いの格
| 着物の色・文様 | 薄クリーム・金・淡い紅色/市松の地模様、疋田で縁取った蝶、花 |
|---|---|
| 帯の色・文様 | 黒・金・紅色など/花、帯裏の薔薇 |
| 着物の格 | 訪問着・袷 |
| 帯の格 | 袋帯 |
| 文様の御利益 | 長寿(蝶) |
一見すると全体に柄がある小紋のようですが、肩や胸、上前に花が配され、蝶の柄が縫い目を越えてつながる絵羽模様になっています。花には刺繍も添えられた訪問着です。
袋帯を合わせることで、淡い色の可憐さを保ちながら、改まったお出かけにも向く取り合わせになります。具体的な場に合わせるときは、帯の意匠や小物も含めて装いの格を整えてください。
御利益アイテム
蝶の願いを、いつもの装いにも。
長く健やかに過ごす願いを託す蝶。着物で楽しんだ蝶の意匠を、毎日の装いにも。胸元を飾るネックレスと、髪に添えるバレッタを選びました。
蝶の願いを胸元に添えるネックレス
ANNA SUIの蝶・薔薇モチーフの2点セットネックレスは、肌になじみやすいベージュの色合いが魅力。透け感のある蝶のネックレスと、薔薇の短いペンダントを、その日の服に合わせて楽しめます。蝶の長寿の意味を心に留めながら、洋服の胸元にも春の軽やかさを添えてみませんか。
蝶の透け感、2本それぞれの長さや重ね方を商品ページで。
蝶の軽やかさを髪に添えるバレッタ
ANNA SUIの蝶・小花モチーフのバレッタは、蝶と小花の意匠を髪に添えられる一品です。蝶に込める長寿の願いを、いつもの髪飾りにも。洋服の日のまとめ髪にも、着物の日の髪型にも取り入れて、後ろ姿に春らしい華やぎを添えてみませんか。
蝶と小花のデザイン、バレッタのサイズや留め具を商品ページで。

