薄クリーム色の市松の地に、疋田の輪郭で蝶が舞う訪問着。金彩の花と、草野一騎の黒い花柄の袋帯を合わせ、淡い色の中に華やかな芯をつくります。宝相華風の花と唐花風の花を響かせ、蝶と花の意匠を秋の装いにも楽しむ取り合わせです。
秋に楽しむ、金色の花と黒い帯
淡い薄クリーム色に、大きな蝶がゆったりとつらなる着物。金彩の花が光を添え、黒い帯に描かれた花と呼応します。実りの季節の落ち着いた色に、やわらかな地色と金の明るさを重ねるのが、この秋の取り合わせです。
着物と帯の花を響かせ、薄クリーム色と金を黒で引き締める。蝶や花を一つの季節だけに結び付けず、色の対比と文様の調和に目を向けて楽しみます。
同じ衣装でも、季節によって見立ては変わります。花と蝶の軽やかさは薄クリーム色の蝶の春コーデ、金彩のあたたかな輝きは冬コーデでも紹介しています。
宝相華風の花と、疋田で縁取る蝶

蝶の羽の輪郭を描くのは、疋田模様の細かな粒です。「匹田」とも書かれる意匠で、粒を連ねた線が蝶の曲線を軽やかに見せています。絞りの小さな斑点については、鹿の子文の記事でも紹介しています。
蝶の内側や襟元には、金色の花と葉、淡い紅色の花が添えられています。この花を、宝相華を思わせる意匠として味わいます。宝相華は実在の植物名ではなく、唐代の豊かな花文から生まれた空想の花。仏教美術にも用いられ、現実の花の名前だけでは捉えきれない、装飾的な華やかさを持っています。
宝相華の背景と、未来永劫・極楽浄土に重なる願いは、宝相華文の記事で詳しく紹介しています。この取り合わせでは、宝相華風の花に理想の花のイメージを重ねて楽しみます。
地に織り出された市松の四角いリズムが、蝶の曲線と金彩の花を静かに支えます。市松に重ねる繁栄や永続の願い、名前の由来は石畳・市松文の記事で詳しく紹介しています。
蝶には長寿を願う吉祥の意味もあります。中国語で蝶の音が八十歳を意味する「耋」に通じることから、長く健やかに生きる願いが託されてきました。花と蝶の華やかさとともに、その縁起も楽しめます。
唐花風の花を響かせる、草野一騎の袋帯
合わせるのは、染色作家草野一騎の袋帯。黒い箔の地に、紅色や淡い白、金色の線で大きな花を表しています。着物の細やかな花に対し、帯の花は大胆な曲線を見せる取り合わせです。

唐花文は、西方の意匠の影響を受けて中国で育まれた、多様な花の形を組み合わせる華やかな文様です。この帯の装飾的な花を唐花風に見立て、着物の宝相華風の花と響かせます。宝相華と唐花の呼び分けには重なる部分もあり、ここでは特定の花名に決めつけず、形の取り合わせを楽しみます。

帯裏にも、草野一騎の薔薇の地模様が織り出されています。表の大胆な花と、光の角度で静かに浮かぶ裏の薔薇。見えない部分まで花を選ぶ楽しみがあります。薔薇の歴史や工芸での表現は、薔薇文の記事でも紹介しています。
色と文様、装いの格
| 着物の色・文様 | 薄クリーム・金・淡い紅色/市松の地模様、疋田で縁取った蝶、宝相華風の花 |
|---|---|
| 帯の色・文様 | 黒・金・紅色など/唐花風の花、帯裏の薔薇 |
| 着物の格 | 訪問着・袷 |
| 帯の格 | 袋帯 |
| 文様の御利益 | 長寿(蝶)、繁栄・永続(市松)、未来永劫・極楽浄土(宝相華風の花に重ねる見立て) |
全体に柄があるため小紋のようにも見えますが、蝶の柄は縫い目を越えてつながる絵羽模様です。左襟、胸元、上前に金彩の花を配し、胸元と上前の花には刺繍も添えられた訪問着です。
袋帯を合わせ、改まったお出かけにも向く装いに。着用する場や季節の気候に合わせ、帯の意匠と小物を含めて取り合わせを整えてください。
御利益アイテム
蝶と花の余韻を、秋の日常にも。
長く健やかに過ごす願いを託す蝶。着物で楽しんだ蝶と花の意匠を、洋服の日の小物にも取り入れてみませんか。胸元に添えるネックレスと、髪を飾るバレッタを選びました。
蝶と薔薇を胸元に添えるネックレス
ANNA SUIの蝶・薔薇モチーフの2点セットネックレスは、ベージュの蝶と薔薇をそれぞれに楽しめる一品。秋のブラウスや無地のニットに、透け感とガラスの輝きを添えられます。蝶の長寿の意味を心に留めながら、蝶と帯裏の薔薇という、このコーデの取り合わせを日常にも。
蝶の透け感、2本それぞれの長さや重ね方を商品ページで。
蝶の軽やかさを髪に添えるバレッタ
ANNA SUIの蝶・小花モチーフのバレッタは、白と淡い紫の蝶に小花を添えた髪飾り。秋の落ち着いた色の服にも、控えめな明るさを加えられます。サイドの髪を留めたり、まとめ髪に添えたりして、蝶に込める長寿の願いを後ろ姿の小さな意匠として楽しめます。
蝶と小花の配置、約18×68mmの大きさや留め具を商品ページで。
※当ブログのリンクには広告が含まれる場合があります。



