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名物裂とは|茶の湯が育てた裂地の美と種類

緑・青緑・朱・深緑と金の裂地で仕立てた丸い仕覆四点を、色の異なる紐で結んだ意匠図

茶入を包む小さな袋や、掛け物を縁取る織物。茶の湯では、道具そのものとともに、それを包み、引き立てる裂地も大切にされてきました。金襴・緞子・間道など、織りと色、伝来の物語を味わう「名物裂」の世界を見てみましょう。

文様の御利益特定の御利益は不明。茶の湯で珍重された、由緒ある裂地の総称です。

名物裂とは―茶の湯で大切にされた裂地

名物裂(めいぶつぎれ)とは、茶道具を包む仕覆(しふく)や、掛け物の表装などに用いられ、茶人たちに珍重されてきた染織品の総称です。一つの決まった柄を指す言葉ではなく、さまざまな織物・染物と、その文様を含んでいます。

中心となるのは、中国の宋・元・明時代などに作られ、日本へもたらされた裂地です。インドやイランなどの染織品も含まれます。異国の織りや色は人々を引き付け、茶の湯の広がりとともに、道具を包む布としても鑑賞されるようになりました。

茶の湯で、とりわけ重んじられた道具を名物(めいぶつ)と呼びます。裂地も、有名な茶人や寺院などとの関わりを受け継ぎ、特別な名前とともに大切にされました。東京国立博物館の解説では、江戸時代にこうした名物裂の価値観が形成されたとされています。

金襴・緞子・間道―織りの違いを楽しむ

名物裂を味わう手がかりの一つが、文様をどのように表しているかです。金や銀の輝き、光の向きで見え方が変わる地紋、色糸の重なり。柄の形だけでなく、織り方によって生まれる表情にも違いがあります。

種類特徴
金襴(きんらん)金糸を用いて文様を織り表す織物。金の線や面が、華やかな輝きを添えます。
銀襴(ぎんらん)銀糸で文様を表す織物。銀の光沢が、地色との対比をつくります。
緞子(どんす)繻子織を中心に、織り組織の違いで文様を表す紋織物。地と柄の光沢の違いを楽しめます。
間道(かんどう)縞や格子を表した裂地。縞の間に文様を織り出したものなど、多彩な表現があります。
錦(にしき)多くの色糸を用い、文様を織り表したもの。配色と柄の重なりが見どころです。

これらは、名物裂に含まれる代表的な種類です。ほかにも更紗やビロードなど、多様な染織品があります。名物裂という呼び名の中に、異なる技法や質感が共存しているところが、この世界の奥深さです。

裂の名前に残る、人・道具・文様の物語

名物裂の名前には、その布が歩んできた道が映し出されています。愛用した人にちなむ角倉金襴(すみのくらきんらん)、茶人の名を冠した珠光緞子(じゅこうどんす)、用いられた茶器にちなむ日野間道など、呼び名から伝来をたどれるものがあります。

一方、花兎金襴や荒磯緞子のように、文様の姿を表した名前もあります。寺院などの所蔵先や、土地との関わりが名に残る裂もあり、織物を見る楽しみと、名前の由来を知る楽しみが重なっています。

仕覆の小さな面に広がる、文様の表情

冒頭の図は、元資料の「唐物文琳茶入 銘若草の仕覆」をもとにした意匠図です。資料の所蔵表示は泉屋博古館分館。緑、青緑、朱、深い緑と金の裂地を、丸みのある袋に仕立て、色の異なる紐で口を結んでいます。

同じような形の袋でも、地色と文様の大きさが変わると印象は大きく異なります。細かな蔓の流れは繊細に、大きな花や曲線は華やかに、密な幾何学文は引き締まって見えます。平らな裂が袋になることで、襞や丸みに沿って柄の見え方が変わるのも見どころです。

仕覆は茶器を守る袋であると同時に、茶器と取り合わせて味わうものでもあります。裂地の色、文様、紐の色を見比べると、小さな道具の中にも、選び合わせる楽しみがあることに気付かされます。

この文様を楽しむアイテム

茶の湯織りの美

織りと色の奥行きを、いつもの持ち物に。

文様をまとう・持つ楽しみを、あなたの毎日に。

名物裂の意匠は、今の小物にも受け継がれています。布の風合いを組み合わせたポーチと、花と幾何学文が重なる数寄屋袋から、気に入った色や織りの表情を選んでみませんか。

麻と名物裂を組み合わせた、御朱印帳ポーチ

幡INOUEの「華わび裂 朱印帳ポーチ」は、名物裂と手紡ぎ・手織り麻を組み合わせた小物です。約19×15.5×2cm、マグネット付きの日本製。「黒」は、黒い麻の本体に、明るい金色を含む細かな文様の蓋を合わせています。洋服の日にも着物の日にも、好みの裂地を持ち歩ける一品です。掲載写真には色違いも含まれるため、商品ページでは「黒」を選んでください。

黒い麻に、織りのきらめきをひとさじ。蓋の細かな文様と、御朱印帳を包むサイズ感を商品ページで。

幡INOUE公式|「黒」を選択・麻と名物裂の組み合わせ
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牡丹と七宝を織り出した、正絹の数寄屋袋

中川政七商店の「新ん橋 数寄屋袋 牡丹に七宝模様」は、加賀前田家に伝わる染繍衣を参考にした裂地を使った品です。表地・裏地は正絹で、約23×17×3.5cmの日本製。色を変えた牡丹の間に七宝文を配し、花の華やかさと幾何学文の整ったリズムを楽しめます。中仕切り板があり、帛紗や扇子、茶券などを分けて収められるため、お茶席の持ち物を整理する小物にも向いています。

色とりどりの牡丹と、金色の七宝文。光で変わる裂地の表情や、仕切りのある内側のつくりを商品ページで。

ほんぢ園|前田家伝来裂を参考にした文様・中仕切り板付き
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ジュンペイ/junpei

色彩と文様の研究家。日本の伝統的な装いと、その色合わせや文様に込められた意味・魅力を研究しています。

2026年10月に「まといとら」「色彩文様研究所」を開始。地味にコツコツ、が得意です。

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