鎌と輪に「ぬ」を添えて「構わぬ」。斧と琴と菊を取り合わせれば「良き事聞く」。絵の名前を声にして読むと、文様に隠れた言葉が浮かんできます。江戸の洒落と願いを映す判じ絵・悟り絵を、身近な形や小袖の意匠から見てみましょう。
| 文様の御利益 | 良き事を聞く願い(斧琴菊文)。 |
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判じ絵・悟り絵とは―絵と文字で言葉を表す文様
判じ絵(はんじえ)・悟り絵(さとりえ)は、絵や文字を組み合わせ、言葉や意味を読み解かせる意匠です。描かれた物の名前を音にしてつなぐと、一つの言葉や文句になります。見た目の形と、読み解いた言葉の両方を楽しめる文様です。
和歌や物語を図柄に託す表現は、古くから工芸品に取り入れられてきました。江戸時代には、そこに洒落やなぞ解きの遊び心が加わり、歌舞伎役者にちなむ文様も親しまれます。込められた意味や願いは、読み解く言葉ごとに異なります。
鎌輪ぬ―「構わぬ」を表す三つの形

鎌輪ぬ(かまわぬ)は、「鎌(かま)」の絵、「輪(わ)」の形、ひらがなの「ぬ」を合わせて、「構わぬ」と読ませる文様です。図版では、三つの形を縦縞の間に並べ、線で描いた形と墨色の形を取り合わせています。
もとは元禄時代の町奴たちが、身を捨てて弱い者を助ける心意気を表して身につけたと伝えられます。後に七代目市川團十郎が舞台で用いたことで再び流行し、役者と庶民を結ぶ意匠として広まりました。
鎌輪ぬから派生したものには、鎌・井桁・升で「かまいます」と読ませる「鎌井升」もあります。組み合わせる形を替えることで、文様に託す言葉も変わるのです。
斧琴菊―「良き事聞く」の願い
斧琴菊(よきこときく)は、斧を「よき」、琴を「こと」、菊を「きく」と読み、「良き事聞く」という言葉を表した文様です。琴の代わりに、弦を支える琴柱(ことじ)で琴を表す意匠もあります。良い知らせを聞くことに通じる、縁起のよい言葉遊びです。
三代目尾上菊五郎が愛用し、自分の名にある「菊」を取り入れた役者の文様としても知られます。冒頭の図版は、斧・琴柱・菊を図案化した形を小紋風に繰り返したもの。言葉を小さな形に託し、日々の装いに添える楽しみが感じられます。
小袖に大きく描く、斧・琴・菊

こちらは、『女用訓蒙図彙』に見える斧琴菊の小袖をもとにした意匠図です。肩に大きな琴と斧を重ね、裾には籬(まがき)と菊を配しています。琴と斧がつくる斜めの流れと、菊の花や葉が集まる部分が、衣服の広い面を生かしています。
小さな形を繰り返す小紋風の意匠も、道具や花を大きく描く意匠も、読み解く言葉は「良き事聞く」。同じ言葉を、形の大小や配置を変えて表すところに、判じ絵文様の幅広さが見えてきます。
鷹の名前にも隠された洒落
鷹や楓を描いた小袖には、「若鷹」「舞鷹」「紅鷹」「紫鷹」「黄鷹」という文字を配したものもあります。「若鷹」を「わかったか」、「舞鷹」を「まいったか」などと読ませる洒落として解釈されてきました。
この小袖については、鷹に「夜鷹」の意味を重ね、遊里にまつわる言葉遊びを含むとの指摘もあります。絵の名前や文字の響きが、隠れた意味への手がかりになる表現です。判じ絵には、願いを込めるものから、機知を楽しむものまで多様な意匠があります。
御利益アイテム
絵に隠した言葉を、装いの楽しみに。
願いを込めた文様を、あなたの毎日に。
良い知らせへの願いを表す斧琴菊の帯と、江戸の心意気を描く鎌輪ぬの扇子。込められた言葉の違いを楽しみながら、装いの小物に取り入れてみませんか。
「良き事聞く」を締める、斧琴菊の祭帯
リバーシブル祭帯「008 斧琴菊」は、綿100%の生地に帯芯を入れた日本製の帯です。半纏や浴衣に合わせられ、長さ約380×幅8cm。細く続く斧琴菊の柄が、祭りの装いに「良き事聞く」の願いを添えます。両面を使えるリバーシブル仕様で、帯の締め方の説明書付き。ここでは「白×青」を紹介しています。
斧・琴・菊に「良き事聞く」の願いを添えて。白と青のすっきりした柄と、両面使いの帯のつくりを商品ページで。
四角い扇面で楽しむ、鎌輪ぬの洒落
京せんす 風香扇のスクエア扇子「鎌輪ぬ・白地×唐木」は、綿の手ぬぐい生地と竹の扇骨を使った日本製の扇子です。約23cmの男女兼用で、団扇を思わせる四角い形が特徴。白地に濃い藍色の鎌・輪・「ぬ」を斜めの縞とともに配し、洋服の日にも和の装いにも、言葉遊びをさりげなく持ち歩けます。生地の取り方により、柄の出方は一点ずつ異なります。
鎌と輪、「ぬ」の文字を斜めの縞にのせた、粋な四角扇。開いた姿と柄の表情を、商品ページで。
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