花びらの縁が細かく裂け、細い茎の先にふわりと咲く撫子。秋草の一つとして親しまれた花は、唐草の中では華やかな図案に、肩衣では軽やかな白い花に姿を変えます。色や形を整えながら受け継がれてきた、撫子文の可憐な表情を見てみましょう。
| 文様の御利益 | 特定の御利益は不明。細かく裂けた花びらに、秋草の可憐な風情を映す文様です。 |
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撫子文とは―花びらの細かな縁を楽しむ意匠
撫子文(なでしこもん)は、撫子の花をかたどった文様です。カワラナデシコはヤマトナデシコとも呼ばれ、秋の七草の一つとして古くから親しまれてきました。淡紅色や白の花と、すっと伸びる細い茎葉が印象的な植物です。
花の特徴は、五枚の花びらと、その縁に入る細かな切れ込み。文様では、花の輪郭を細く描くもの、白や濃い色の面で表すもの、花びらを大胆に重ねたものなど、さまざまに図案化されています。
秋草として愛でられた、撫子の花
撫子は、萩・桔梗・薄などとともに、秋の風情を伝える草花です。平安時代の和歌や歌絵に見られる秋草の情緒は、染織や工芸の意匠にもつながっています。
桃山時代には、草花を大きく、力強く表す意匠も好まれるようになりました。撫子の花も、細やかに愛でる草花と、装いの主役になる花の両方の表情を持っています。硯箱の蒔絵などにも取り入れられ、小さな花の姿が暮らしの道具を彩ってきました。
撫子と宝唐草―花と蔓がつくる華やかな流れ
冒頭の図版は、撫子と宝唐草の意匠をもとに描いたものです。黄土色の地に青緑の花を配し、細い唐草の蔓がその間をつないでいます。蔓の合間には、小さな宝物の形も散らされています。
大きく重なる花びらのぎざぎざした輪郭に、蔓の丸い曲線。花の鋭い縁と、ゆるやかな蔓の動きが響き合い、可憐な撫子が装飾性の高い文様へと変わっています。
唐織に見る、撫子の咲き分け

段地霞撫子蜻蛉模様唐織に見られる撫子をもとにした図版では、花の形を白黒で表しています。濃い面で咲く花と、輪郭だけを残す花が交じり、細い葉やつぼみがその間を埋めています。
正面を向く花だけでなく、横を向いた花や、少し傾いた花も。一つ一つの向きを変えることで、茎の先に花が揺れるような動きが生まれます。花びらの縁の細かな刻みも、撫子らしさを伝える見どころです。
肩衣の白い撫子と、家紋に整えた花の形

撫子模様肩衣の意匠では、黒い地に白い花と茎葉が浮かびます。花びらの先は細く裂け、茎はゆるやかな弧を描いて伸びています。花の周りに余白を残すことで、白い輪郭の軽やかさが引き立ちます。
撫子は家紋にも用いられ、枝撫子・撫子枝丸・三つ盛撫子などの形に整えられています。枝葉を添えたり、花を丸くまとめたり、複数の花を組み合わせたり。同じ花でも、配置と輪郭の整理によって異なる表情を見せてくれます。
この文様を楽しむアイテム
細かな花びらの可憐さを、日々の装いに。
文様をまとう・持つ楽しみを、あなたの毎日に。
撫子を身近に楽しむなら、髪に添える銀細工と、涼を運ぶ正絹の扇子はいかがでしょう。洋服の日にも和の装いの日にも、花の形や素材の表情をさりげなく取り入れられる2点です。
髪に添える、銀の撫子の透かし
かざりや鐐のかんざし「花紋 撫子」は、シルバー925を使った二股の髪飾りです。花をおさめた丸い飾りに、繊細な透かしと彫りを施しています。約2.2×13cmの小ぶりな形で、まとめ髪に銀の花をひとつ添えるように楽しめます。メーカー取り寄せの品のため、最新の納期も商品ページでご確認ください。
銀の透かしと、撫子の形を商品ページで。
透ける絹に、黒い撫子の刺繍を
伊と幸の染め透扇子は、薄い絹布に刺繍を施した日本製の扇子です。紹介するのは「撫子(黒)」。黒の中に花の形が浮かび、光を通す絹と刺繍の重なりが繊細な表情をつくります。長さ約21cm、共生地の扇子袋と紙箱付き。暑い季節の外出に、洋服・着物のどちらにも合わせやすい一品です。
撫子の刺繍と、透ける絹の表情を商品ページで。
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